2009年10月7日(水)17:26

チェコのクラウス大統領はEU内で孤立を深める

AFP

EU改革リスボン条約の批准をめぐる綱引きで、チェコのヴァーツラフ・クラウス大統領は孤立を深めている。欧州連合とチェコ政府はクラウス大統領に対し、条約への署名を人工的に引き延ばさないよう呼び掛けた。しかし欧州統合に懐疑的なクラウス大統領はあらためて頑なな姿勢を示した。

「EUが心配する必要は何もないと私は固く信じている」。年末までにチェコのリスボン条約批准を完了させる前提条件はすべて整った、とチェコのヤン・フィシェル首相はEU首脳との協議を終えて語った。フィシェル首相は飛行機の故障のためにブリュッセルのEU首脳との会談はビデオで済ませた。

フィシェル首相は、チェコの憲法裁判所で合憲判断が出た場合、クラウス大統領が批准文書に署名する意向であるとの「シグナル」を得たと述べた。クラウス大統領が所属する保守系の市民民主党(ODS)の欧州統合懐疑派の上院議員グループは、EU「超国家」を恐れて憲法裁判所に条約を提訴している。憲法裁判所の判断は数週間以内に下りるものと予想される。国内の付帯法案に対する違憲訴訟については、火曜日憲法裁判所が合憲として退けている。

EUもクラウス大統領に呼びかけを行った。「私たちにはリスボン条約が必要だ」。EUは年末までの発効を望む、とEU議長を務めるスウェーデンのフレデリク・ラインフェルト首相は強調した。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は、ポーランドのレフ・カチンスキ大統領がアイルランドの国民投票による批准承認を受けて今週中にも批准文書に署名する意向であると指摘した。「残るはチェコ共和国のみである」とバローゾ委員長は強調した。

一方クラウス大統領は時間かせぎを行っている。「チェスをする場合は次の手を明かさないものだ」とラディスラフ・ヤクル大統領顧問官はフランスのラクロワ紙La Croix に語った。リスボン条約に関するチェコの司法判断は少なくともあと6ヶ月はかかるだろう、とヤクル顧問官は述べ、8ヶ月から10ヶ月かかったドイツの連邦憲法裁判所の判断を引き合いに出した。

リスボン条約をめぐる綱引きにより、ハヴィエル・ソラーナEU上級外交代表の任期は延長されることになる。ラインフェルト議長は、私はソラーナ代表に10月17日で切れる任期の延長を求めたと述べた。ラインフェルト議長によれば、ソラーナ代表の任期は少なくとも10月末、場合によってはそれ以上延びる可能性があるという。

原題:Tschechiens Praesident Klaus in EU zunehmend isoliert




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